兵庫県姫路市のうなぎ店を２５歳で受け継ぎ、横浜市から移住してきた若者がいる。料理人としての長年の経験がものをいう世界で、高みを目指そうと腕を磨きつつ、店を切り盛りしてきた。２３日は土用の丑（うし）の日。２８歳になった若者は今日も焼き場に立ち、ウナギを香ばしく焼き上げている。（段　貴則）

　「うなぎ亭一座姫路本店」（姫路市飾西）の店主・堀部龍登（りゅうと）さん。岐阜県出身で大学は理工学部に進み、水を浄化する炭素の研究に打ち込んだ。一方、アルバイト先の飲食店が株式公開を目指す新興企業で、活気のある雰囲気に憧れ、自らも飲食店経営を志した。卒業後はステーキ店の店長などを経験。「うなぎ亭一座」をフランチャイズ（ＦＣ）展開する姫路市の会社が、直営店「姫路本店」の店長候補など店を託す人材を探しているのを知り、手を挙げた。

　ウナギが好物という母の影響で、堀部さんも小さい頃から食べ、好きだったのが理由。運営会社との協議で店ごと受け継ぐ話がまとまり、堀部さんは２０２０年１月に店主となった。前店長から焼き方を学び、新たなスタッフを雇い入れてスタートを切った。

　堀部さんは「スタッフが変わったことで常連客が離れたこともあるし、経験がない私の若さを指摘されたこともある。それでも若さをアピールしていきたい」と前を向く。ウナギは個体差があるため「香ばしく焼くことで少し苦みを持たせる、その調節が難しい。毎日が勉強」と語る。

　８月１日には同市南条２に新店を開く。「腕を磨き、いずれは姫路一番の店を目指したい」と力を込める。姫路本店ＴＥＬ０７９・２６０・７２５０