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県消防学校で女性初の首席に輝いた田中未唯さん=姫路市西今宿3
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県消防学校で女性初の首席に輝いた田中未唯さん=姫路市西今宿3
体格のいい隊員たちに交じり、要救助者の引き上げ救助訓練に取り組む田中さん=姫路市西今宿3
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体格のいい隊員たちに交じり、要救助者の引き上げ救助訓練に取り組む田中さん=姫路市西今宿3

 今春、兵庫県姫路市消防局に採用された田中未唯さん(22)が、6カ月間の基礎訓練を積んだ県消防学校(三木市)の卒業成績で女性初の首席に輝いた。身長148・7センチと小柄ながら、実技と学科の総合評価で同期158人のトップになった。姫路東消防署に配属され、「もっと強くなって、生まれ育った地域を守りたい」と決意を語った。(森下陽介)

 福崎町出身。市立姫路高校を卒業後、武庫川女子大に進学した。親戚に消防隊員がいて子どもの頃から身近な職業だったが、「女性はなれない」という思いもあった。

 転機は高校生のときに参加した公務員の就職セミナー。使命感を持ちながら働く様子を熱く語る消防隊員の姿に、一気に憧れが強まった。「自分の手で身近な人を災害や事故から守りたい」と進路を定めた。

 大学卒業後、競争率8倍の試験を経て市消防局に採用。その後、消防学校で、神戸市を除く県内23消防局・本部から集まった新人隊員たちと寮生活を送りながら、基本的な知識と技術を学んだ。

 高校生まではソフトボール、大学時代は軟式野球に打ち込み運動には自信があった田中さん。だが同校に入学してすぐ、厳しい訓練と体力自慢の同期の姿に打ちのめされた。

 同期に追いつき、追い越したいと、放課後には自主訓練を繰り返した。試験前には日付が変わっても机にかじりついた。半年後、努力の成果は表れ、豊富な知識と体力が求められる首席に選ばれた。県消防学校74年の歴史の中で初めての快挙に、姫路市消防局から出向中の教官も「運動も勉強もできるが、なによりガッツがある」と太鼓判を押す。

 田中さんは「男性社会のイメージがあるが、女性でもやれるというところを見せられた。早く現場で役に立てるように、これからも努力し続ける」と意気込んでいる。

 市消防局からはほかにも、山名悠斗さん(27)、山中海土さん(22)、内藤諒真さん(23)も成績優秀者として表彰された。

■トイレや更衣室など女性採用に課題多く

 初の女性首席が誕生した県消防学校。だが現場ではまだまだ女性は少なく、姫路市消防局では全体の約4・2%にとどまる。多様な人材確保のため積極的に女性の採用を進める方針だが、課題は多いという。

 総務省消防庁によると、全国の消防職員の女性の割合は2021年で3・2%。26年までに5%に引き上げる目標を掲げている。

 市消防局では今春、25人を採用し、うち女性は12%に当たる3人。少しずつ採用人数は増えているが、22年4月時点では消防庁の目標値を下回っている。

 県内24の消防局・本部では、芦屋市と川西市の2消防本部が既に達成。美方広域消防本部は女性の職員がいないといい、各消防局・本部でばらつきがみられた。県全体の平均は約3・1%だった。

 姫路市消防局によると、築年数の古い消防署や出張所には女性用トイレや更衣室が十分に整備されていないなどハード面に課題もあるという。担当者は「女性や子ども、高齢者の要救助者への対応は、女性隊員の方がきめ細かく不安を和らげられるという声も多い。これからも受け入れ環境の整備を進めたい」とする。

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