姫路

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御立公園で保存されているC57形を見上げる森澤康成さん。動輪は成人男性の背よりも大きい=姫路市御立西4
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御立公園で保存されているC57形を見上げる森澤康成さん。動輪は成人男性の背よりも大きい=姫路市御立西4
「C575」のプレートがりりしい前面。ライトも点灯する=姫路市御立西4
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「C575」のプレートがりりしい前面。ライトも点灯する=姫路市御立西4
保存車両の運転席。普段は中に入ることはできない=姫路市御立西4
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保存車両の運転席。普段は中に入ることはできない=姫路市御立西4
現役時代の5号機
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現役時代の5号機
相生市の中央公園にある中国製SLのモニュメント。かつては車両が2両保存されていた=同市那波南本町
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相生市の中央公園にある中国製SLのモニュメント。かつては車両が2両保存されていた=同市那波南本町

 「乗り鉄」に「撮り鉄」…。世の中に鉄道趣味のジャンルは数多くあるが、蒸気機関車(SL)の車両保存に取り組む愛好者たちが兵庫県姫路市にいる。強いて言うなら「保存鉄」だろうか。会の名は「姫路シゴナナ会」。約30年前に発足し、長らく車両の手入れや公開イベントを開いてきた。会長の森澤康成さん(70)に、保存を続ける魅力や苦労を聞いた。

 スマートな外観から「貴婦人」とも呼ばれるSL車両が、同市御立西4の御立公園にある。C57形の5号機。姫路シゴナナ会が手入れを続け、気品に満ちた往時の輝きをとどめる。

 同形式は1937年から約200両が製造され、四国を除く全国の路線で活躍した。5号機は神戸の川崎車輌(しゃりょう)(当時)生まれで、42年から姫路機関区に所属し、山陽線を中心に走行した。豊岡機関区に移り、播但線や山陰線でも運行。74年に島根・浜田機関区を最後に引退した。姫路ゆかりの機関車ということもあり、公園整備に合わせて翌75年から展示されてきた。

 車両は柵に囲われ、普段は立ち入れないが、森澤さんの案内で特別に中に入れてもらった。後部のテンダー(炭水車)を含め全長20メートルある車体は黒く光り美しい。5年に1回のペースでペンキを塗り直している。

 そして目の前に立つと、やはりスケールの大きさに驚く。中でも目を引くのは動輪で、直径1メートル75もある。運転席の計器類やプレートの一部はレプリカだが、その他はほぼ原型に近い姿をとどめているそうだ。

     ◇

 シゴナナ会の活動開始は95年。当時、塗装のはげなどが目立つ車両に心を痛めていた森澤さんが、市の許可を得て手入れを始めた。

 森澤さんは少年時代にSLに魅せられた一人だ。姫路市勝原区で山陽線を行き交う車両を見て育ち、SLが引っ張る列車で播但線沿線の高校に通った。播但線も走行したC57形は、青春の一ページを彩った車両として思い入れが深かった。

 1人で保存活動を始めたが、SLを見に訪れた愛好家に声をかけるなどして、次第にメンバーも増えていった。同県豊岡や加古川など、他のSL保存会との交流や、同県尼崎の大物公園にあるD51形の手入れにも携わるなど、活動の輪が広がった。

 現在の主な活動は掃除や定期的な塗り直し。約10人いるメンバーも高齢化し、「高所での作業が大変になってきたわ」と森澤さん。毎年「こどもの日」に合わせて一般公開も行い、運転席などでの写真撮影には家族連れの長い列ができるほど人気という。森澤さんも「SLを身近に感じてもらえる絶好の機会。子どもたちの喜ぶ姿がやりがい」。新型コロナウイルスの影響で公開を休止していたが、今年のこどもの日は4年ぶりに行う予定で、準備を進めているそうだ。

■直すも壊すも資金必要 解体の事例も

 旅先で保存されている鉄道車両を見かけると、つい目が行く。きれいな状態であれば、ちょっとうれしい気持ちになる。鉄道ファンのさがだろうか。

 しかし、車両の保存は決して簡単ではない。鋼鉄製の車体は定期的に補修しないとさびてしまう。車両の老朽化に加え、かつて手入れを担うことが多かったという旧国鉄の関係者やOBは少なくなっている。直すのにも壊すのにもお金がかかるのが実情で、荒れたままの車両もある。

 播磨に残る保存SLも明暗が分かれている。兵庫県太子町の太子山公園にあるD51形は、5年ほど前にJR西日本の子会社によってお色直しされた。前回の補修は20年以上前だったといい、再整備にはふるさと納税の寄付金を充てたそうだ。

 一方、同県相生市の中央公園で保存されていた中国製のSL2両は、老朽化に加え、車体から基準値の6倍近いアスベスト(石綿)が見つかったため解体され、今は車体の一部を使ったモニュメントだけが残る。

 きれいな状態を保つのが難しいからこそ、姫路シゴナナ会のような有志による保存会は貴重な存在でもある。森澤さんは「車両を触るのが趣味というか、もう生きがいみたいなもんだからね」と笑うが、「うちらのような保存会も、SLの現役時代を知る高齢者がどうしても多くなりがち。若い人がもっと入ってくれたらいいけれど…」と継承についての本音も口にする。

 1970年代に観光目的以外のSLが引退してからまもなく半世紀。戦前・戦後の日本の発展を支えた生き証人たちを後世に残すためには、地域の文化財としての視点がより重要になってくる。ノスタルジーだけで残せる時代では既にないからこそ、この記事も改めて車両の歴史的価値に目を向けるきっかけになればと思う。

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