姫路

  • 印刷
「水屋珈琲」を切り盛りする高島和雄さん、明美さん夫婦=姫路市山野井町
拡大
「水屋珈琲」を切り盛りする高島和雄さん、明美さん夫婦=姫路市山野井町
コラボメニュー「ろっくんあいす」を前に笑顔を見せるいわむらかずおさん(姫路文学館提供)
拡大
コラボメニュー「ろっくんあいす」を前に笑顔を見せるいわむらかずおさん(姫路文学館提供)
竹廣裕子学芸員
拡大
竹廣裕子学芸員
【ねずみくんのチョッキ】「ねずみくんのチョッキ展」のおやつセット。これまでの1番人気という(姫路文学館提供)
拡大
【ねずみくんのチョッキ】「ねずみくんのチョッキ展」のおやつセット。これまでの1番人気という(姫路文学館提供)
【安田青風】安田青風の故郷の風景を参考にした「立岡山プリンセット」(姫路文学館提供)
拡大
【安田青風】安田青風の故郷の風景を参考にした「立岡山プリンセット」(姫路文学館提供)

 姫路文学館(兵庫県姫路市山野井町)内のカフェ「水屋珈琲」は年数回の同館企画展に合わせてほぼ毎回、コラボメニューを発表している。味覚の辞書に「妥協」の文字はないマスターと作家の世界観を余すことなく表現したい担当学芸員、両者が何度も話し合って生み出すのは、味と見た目に膝を打つ逸品ばかり。現在12作目を提供中の同店で、創作の苦労や喜びを聞いた。

 市立施設内のテナントなら大資本の展開-と想像するかもしれないが、さにあらず。水屋珈琲は喫茶店一筋38年のマスター高島和雄さん(71)と妻明美さん(59)が2人だけで切り盛りする小さなお店だ。

 以前はJR宝殿駅前(同県高砂市)に店を構えていた。周辺企業の転出などを受けて姫路市街地へ移ろうかと思案中だった2016年、同館の公募を知り「ビビッと来て」(明美さん)、応募した。宝殿時代から使う屋号は、向田邦子の随筆に出てきた店の名を和雄さんが気に入って拝借したという。文学とはもとより縁があった。

 同館に移転後、香り高いコーヒーはもちろん、和雄さんが腕によりをかけたサンドイッチやフルーツジュースが評判に。来館ついでではなく同店を目当てに来る常連も付いてきた18年の春頃、学芸員の竹廣裕子さん(55)が企画書を手に店に入ってきた。

 「展覧会プラスアルファで楽しんでもらえるものを」と、コラボメニュー作りを打診。竹廣さんは当時、18年夏に開催する、ネズミの大家族を描いた「14ひきのシリーズ」で知られる絵本作家いわむらかずおさんの企画展を担当していた。「14ひき-」の人気キャラクター「ろっくん」の性格や服装を2人に伝え、ともに知恵を絞った。

 試行錯誤の末に完成した「ろっくんあいす」はチョコやクッキーでろっくんの姿をたくみに表現。手が込みすぎ、作るそばから溶けそうになったが、夏休みの子どもたちを十二分に喜ばせた。いわむらさんも来店して口にした。

 その後、学芸員たちは企画展開幕の数カ月前から高島夫妻に相談を持ちかけるようになった。「資料やヒントをもらって、何が作れるかなといつも考えています」と和雄さん。ランチョンマットやしおりなどの小道具は学芸員が内容を考え、手作りしている。

 竹廣さんは「見た目だけではなく、本当においしい物を提供してくださる」と感謝。「コラボは手間がかかるので負担にならない程度に続けていただければ」と気遣うが、夫妻は「確かに大変だけど、学芸員さんの熱い気持ちに応えたい」と、今年も元気に続けるつもりだ。

     ◇     ◇

安田青風の故郷太子町の風景を一皿に 「立岡山プリンセット」提供中

 開催中の「歌人安田青風展」にちなみ現在提供しているのは「立岡山プリンセット」。プリンとパンケーキサンドを一皿に配置し、同県太子町出身の青風が「大き乳房のかたちして」と歌った故郷の山を表現した。

 プリン底部のスポンジ生地にはカラメルソースをしみ込ませている。パンケーキの中身はあんことバナナで、いずれもホイップクリームを添えた。お菓子の間を通るチョコレートソースのラインは山陽新幹線の軌道だ。青風が最後の帰郷(1979年)で見たであろう風景を参考にした。

 コーヒー、短歌のしおり付きで1300円。同展閉幕の26日まで。午前9時~午後5時。期間中、毎週月曜日と22日は休館。姫路文学館TEL079・293・8228

姫路
姫路の最新
もっと見る
 

天気(9月6日)

  • 33℃
  • 25℃
  • 10%

  • 34℃
  • 22℃
  • 10%

  • 35℃
  • 25℃
  • 10%

  • 36℃
  • 23℃
  • 10%

お知らせ