姫路

  • 印刷
創業当時の看板を手にする小嶋昌一社長=太子町矢田部
拡大
創業当時の看板を手にする小嶋昌一社長=太子町矢田部
メイジョーソースの多彩な商品
拡大
メイジョーソースの多彩な商品

 粉もん文化に欠かせないのが、お好み焼きの味を決めるソース。関西には醸造元も多いが、商品名「お好みソース」の発祥かも知れない会社が兵庫県太子町にある。戦後、姫路で創業したメイジョーソース。社員数10人強と規模こそ小さいが、社名は世界文化遺産・国宝姫路城からいただき、味を守り続けている。(段 貴則)

■リヤカーから販路拡大

 現社長・小嶋昌一さん(69)の父昭次さんが1951年、国鉄(JR)網干駅そばで創業した。播磨は古くから醸造業が盛んで、酒やしょうゆ蔵が多く、知人からソースを勧められたのがきっかけ。商品名は「アサヒソース」で、昌一さんは「創業地が朝日山の麓だからかな」と想像する。

 ソース造りは午前3時、4時から釜にまきをくべて炊きあげた。夜が明けると、数日前に炊きあげ、つぼに詰めて寝かせておいたソースを姫路の飲食店へリヤカーで売りに行った。店主からソースの感想や要望を聞き、改良につなげる。このサイクルが功を奏した。ソース業界は戦前に創業した会社が多く、後発ながら販路を広げていった。

 昌一さんは、お好み焼き店向けに「お好みソース」と名付け、販売したのは「創業当時」(51年)と聞いているそうだ。「関西で一番早かったと思う。インパクトある名称のおかげで売れたのでは」。ちなみに「とんかつソース」の生みの親で、今春に創業100年を迎えたオリバーソース(神戸市)によると、濃厚なとんかつソース発売(48年)を機に、関西で粉もんに濃厚ソースを使う食文化が開花したという。一方、オタフクソース(広島市)の「お好みソース」誕生は52年だった。

■「天下の名城」から社名と商品名

 業容拡大で太子町へ移転し、60年に「天下の名城・姫路城」にあやかって、社名と商品名を「名城ソース」に改めた。ただ、姫路以外では「なしろ」と読み間違われることも多く、97年に社名をカタカナとし、商品名は漢字を通してきた。

 粉もん文化の関西はソースへのこだわりも強い。町を歩けば、熱い鉄板ではじけるソースの香りが、店先から流れてくる店も多い。昌一さんも当然、ソース派。カレーや目玉焼きにもかけるが「ソースは脇役」と言い切る。「ソースの味が勝ちすぎると、お好み焼きをもう1枚食べようとならない」。理想はピリッとパンチがあって、食欲をそそるソースだ。

 20年前から「地ソース」を切り口に発信する昌一さん。今年は姫路城が世界文化遺産登録30年にあたり「味がぶれることなく、『名城』の名に負けないソースを造り続けたい」と話す。

姫路
姫路の最新
もっと見る
 

天気(9月7日)

  • 34℃
  • 27℃
  • 20%

  • 36℃
  • 24℃
  • 40%

  • 35℃
  • 26℃
  • 20%

  • 35℃
  • 25℃
  • 30%

お知らせ