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「ナギヒロハテンナンショウ」と、開花させた松本修二さん=姫路市立手柄山温室植物園
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「ナギヒロハテンナンショウ」と、開花させた松本修二さん=姫路市立手柄山温室植物園
5年越しに開花した「ナギヒロハテンナンショウ」=姫路市手柄、市立手柄山温室植物園
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5年越しに開花した「ナギヒロハテンナンショウ」=姫路市手柄、市立手柄山温室植物園

 兵庫や岡山、鳥取県境でのみ自生している「ナギヒロハテンナンショウ」が今月、姫路市立手柄山温室植物園(兵庫県姫路市手柄)で初めて花開いた。2008年に新種として学会誌に発表されており、同園では18年、国立科学博物館筑波実験植物園(茨城県つくば市)から届いた種子の栽培を開始。4年半の月日をかけて開花にこぎ着けた。(森下陽介)

 テンナンショウは、全国に分布するサトイモ科の多年草。花を包む筒状の「仏炎苞(ぶつえんほう)」を備え、国内で53種類が確認されている。

 このうち「ナギヒロハ-」は、仏炎苞の裏側が濃い紫茶色に染まるのが特徴といい、県植物誌研究会の小林禧樹(とみき)代表(80)らが、岡山県・那岐(なぎ)山(標高1255メートル)で自生地を発見。その後の調査で、兵庫や鳥取側の計3地域でも見つかったが、他に新たな発見報告はない。

 18年の「種の保存法」改正で、絶滅の恐れがある国内希少野生動植物種に指定された。現地で採取された種子を手に入れた筑波実験植物園は、絶滅のリスクを低減するため、国内3カ所の植物園に送ったという。

 今月中旬、同園内の周囲をネットで囲まれた場所で、開花したばかりのナギヒロハテンナンショウが、その名に反して細い葉を風に揺らしていた。栽培を担った松本修二研究員(69)が「図鑑の写真に比べて葉っぱが小さいでしょう。まだまだ子どもなんです」と目を細める。自身の経験から水や肥料の量を調整しつつ気温に気を配り、標高が高い自生地の環境に近づけてきた。

 発芽したのは3株で開花は1株にとどまるが、雌雄の株を今後咲かせることができれば、交配させて種子の回収も期待できる。松本さんは「夏場は夜も暑い姫路では温度管理も苦労した。それだけに開花の喜びはひとしお。種子が取れれば、また絶滅から一歩遠ざかるはず」と話した。

 ナギヒロハ-は、園内で展示している。午前9時~午後5時。金曜休み。高校生以上210円、6歳~中学生100円、5歳以下は無料。同園TEL079・296・4300

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