京都・清水寺と同じ構造の「懸造り」が特徴の円教寺摩尼殿=姫路市書写(ドローンで撮影)
京都・清水寺と同じ構造の「懸造り」が特徴の円教寺摩尼殿=姫路市書写(ドローンで撮影)

 書写山円教寺(姫路市書写)の「顔」とも言える摩尼(まに)殿が、国重要文化財に指定されることが決まった。日本遺産でもある播磨を代表する名刹(めいさつ)は、新緑や紅葉の名所としても知られ、年間約20万人が参拝に訪れる。吉報を受け、大樹玄承(おおきけんじょう)住職(66)は「姫路城に次ぐ播磨の観光スポットとして、さらなる注目を集めるきっかけになれば」と喜ぶ。

 現在の摩尼殿は4代目で、1933年に完成した。構造は京都・清水寺と同じ「懸(かけ)造り」で、舞台がせり出しているのが特徴。仏像を安置する内陣の天井には鮮やかな色調の植物文様が描かれ、梁(はり)や桁などの部材には中世の寺社建築と西洋調の意匠が融合している。

 99年には国登録有形文化財に、2014年には市の重文、17年に県の重文となるなど、その文化財的な価値は以前から高く評価されてきた。円教寺の建造物はすでに大講堂、食堂(じきどう)、常行堂の「三之堂(みつのどう)」が国重文に指定されており、摩尼殿は9件目となる。