播磨国総社(兵庫県姫路市総社本町)で14日、商売繁盛や家内安全を願う新春行事「初えびす祭」が始まった。かごに福娘を乗せた「宝恵駕籠行列」を先頭に、江戸時代の三ツ山大祭で行われていたと伝わる「謡囃子」の行列など総勢約600人が市街地を練り歩いた。境内では恵美酒社にマグロが奉納され、参道は縁起物を買い求める参拝客らでにぎわった。(辰巳直之)
宝恵駕籠行列は芸者がかごに乗って参拝したことが由来で、かごが大きく揺れるほど福を多く振りまくとされる。金烏帽子に白装束姿の福娘は「ほい、ほい、宝恵駕籠ほい」という氏子たちのかけ声とともに何度も激しく揺さぶられたが、沿道の声援に手を振りながら終始笑顔を見せた。
福娘を務めた、飲食店勤務の白倉紅葉さん(24)は「膝が跳ねるぐらい揺れたけど、福をたくさん届けられたかな」とほほ笑んだ。
謡囃子は明治時代に廃れたが、氏子らでつくる「一ツ山大祭・三ツ山大祭保存会」が2019年の初えびす祭で復活させた。今回は大祭の盛り上げ役だった「にわか」のほか、法被や鎧武者姿の約80人が参加。笛や三味線の音色に合わせ、道中やJR姫路駅前の特設舞台で踊りを披露した。
同保存会会長で、総代代表の田中種男さん(95)は「住民も商売人も姫路の繁栄を願いながら参加した。最高のにぎわいとなった」と話した。
初えびす祭は16日まで。期間中、とんど焼き(同日昼ごろまで)や福引大会がある。