次々と水揚げされるイカナゴのシンコ=姫路市白浜町の妻鹿漁港
次々と水揚げされるイカナゴのシンコ=姫路市白浜町の妻鹿漁港

 播磨灘に春の訪れを告げるイカナゴのシンコ(稚魚)漁が、今年は操業開始1日目で漁期を終えた。11日未明から、姫路や西播磨の各漁港から多くの漁船が沖に繰り出したが、例年よりも不漁に。同日午後、漁業者らが資源保護などを考慮し、12日以降の取りやめが決まった。姫路市内の直売所などは希少な春の味を買い求める客でにぎわった。(辰巳直之)

 シンコ漁は、網を引く2隻と港へ届ける運搬船1隻の計3隻1組で行う。姫路市坊勢の坊勢漁協は約180隻が坊勢島南沖などで操業。11日午前8時半過ぎ、運搬船が妻鹿漁港(同市白浜町)に入ると、シンコが次々と運び込まれた。

 同漁協によると、体長は7、8センチと大きめだが、11日の水揚げ量は昨年より約30トン減の約11トン。同漁協販売部の桂智也さん(50)は「思っていたより漁獲量が少なく、やはりショック。1匹が大きい分、魚の数は数字以上に少ないのかも」と肩を落とす。

 競りでは1籠(約25キロ入り)が8万~17万円で取引され、水産物卸売会社「加古川水産」の仲買人、村田和孝さん(46)は「安くならないと予想していたが、もう高級魚ですわ」と苦笑した。

 同漁協の直売所「姫路まえどれ市場」では、水揚げ前から予約客らが列をつくった。小売価格は、昨年より千円高い1キロ4千円。2キロを購入した小井住(こいずみ)里枝さん(72)=姫路市八家=は「昔は10キロを買っていたけど、今年は少なめに。くぎ煮を作って岡山に住む息子に送りたい」と話した。