神戸新聞NEXT
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 特殊詐欺グループの「かけ子」をさせるため、大学生だった男性(23)を拠点のあるカンボジアに連れていったとして、兵庫と島根、和歌山の3県警合同捜査本部は9日までに、国外移送目的誘拐の疑いで、かけ子を勧誘する「リクルーター」やかけ子の拠点責任者ら男女6人を逮捕した。兵庫県警によると、男性はカンボジアで詐欺に関する電話をかけさせられていた。

 逮捕されたのは、無職の男(51)=姫路市▽飲食店経営の男(40)=同市▽飲食店員の男(36)=同市▽無職の男(22)=加東市=ら男5人と、神戸市兵庫区に住む風俗店従業員の女(19)。

 6人の逮捕容疑は昨年6~7月、県内に住んでいた男性に「カンボジアで電話をかける仕事をしてもらう。平均で月150万円以上の給料が入る」と持ちかけ、関西空港から経由地マレーシア行きの飛行機に乗せた疑い。県警は6人の認否を明らかにしていない。

 県警によると、飲食店員の男(36)と無職の男(22)は現地へかけ子を送り込むリクルーターで、姫路市周辺で活動していた。県警は無職の男(51)がリクルーターへの指示役、飲食店経営の男(40)が現地のかけ子拠点の責任者とみている。

 男性は無職の男(22)の元同僚で、飲食店員の男(36)、無職の男(22)らから「稼げる仕事」として勧誘された。車で2人と関空へ行き、手配されたチケットで飛行機に乗ったという。男性はカンボジアに到着後、説明を受けて「仕事」の内容がかけ子と知ったという。ひそかに日本の知人へ連絡し、家族が警察に相談。男性は「家族が亡くなった」とうそをついて同年7月下旬に帰国し、空港で警察に保護された。

 合同捜査本部は宝塚市や和歌山県、北海道に住む60~80代の男女4人から約3千万円を詐取したとして、無職の男(51)を除く5人と別の男1人を詐欺容疑でも逮捕。グループの上位に外国人を含む組織があるとみて調べる。