九州大(福岡市)などの研究グループは10日、排便をつかさどる脳中枢の仕組みについて、マウスを使った実験で解明したと発表した。脳幹内の神経核に存在する2種類の神経細胞がそれぞれ異なる役割で排便を制御。研究を人体に応用することで、慢性便秘症や排便障害に対する新たな治療や予防方法につながる可能性があるとしている。
研究グループは、光に反応するタンパク質を作る遺伝子をマウスの神経細胞に組み込み、光の照射で神経活動を操作する手法などを用い、特定の細胞がどんな機能を持っているか調べた。
その結果、脳幹の「橋」と呼ばれる部位にある「バリントン核」内にある「VGluT2神経」が排便開始を、「CRH神経」が排便を続けるための腸収縮を引き起こしていると突き止めた。
研究に参加した九州大病院の田中義将助教は「慢性便秘症についてより細かく解明し、患者一人一人に応じた治療につなげたい」と話した。