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明治時代から茶屋に残っているというはんこ。今も現役だ=神戸市中央区葺合町
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明治時代から茶屋に残っているというはんこ。今も現役だ=神戸市中央区葺合町
押印すると「布引」とともに「去来軒」の文字も=神戸市中央区葺合町
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押印すると「布引」とともに「去来軒」の文字も=神戸市中央区葺合町

 布引の滝の雄滝のそばに立つ「おんたき茶屋」。その女将山口公子さんと話していると、あることを思い出した。かつて茶屋を取材した時、「去来軒」と刻まれたはんこの存在を教えてもらった。まだ置いてあるのだろうか。

 「ああ、あれね。記念というわけじゃないけど、店の領収書に押していますよ」と山口さん。あらためて見せてもらい、紙に押印してもらった。

 流れる滝の絵が描かれ、「港都 源平 布引 雄瀧」「神戸布引山 去来軒」と神戸らしい文字が刻まれている。でも、はんこがなぜ、いつからこの店にあるのかは山口さんも知らないという。

 「店の中を整理していたら出てきたんです」と山口さん。「ラーメン屋みたいでしょ」と笑ったが、義理の両親らから「去来軒」の由来について詳しい説明を聞いたことはない。店に残っている昔の写真や資料にも手がかりはなかった。

 一緒に店を訪ねた神戸大学特命講師の小代薫さんによると、布引遊園地として整備された一帯には「去来軒」という名の茶屋がいくつかあったという。

 店にはんこが残っていたことを考えると、山口さんの(夫の)祖先であるおんたき茶屋の創業者は最初、「去来軒」という名で店を立ち上げ、何かのタイミングで今の店名に変えたのだろう。

 複数あった去来軒。去ってはまた、来てもらう1軒の店。当時の流行語のようなものだったのだろうか。

 確かに、今もどこかのラーメン屋の名にありそうだが、ここはやっぱり「おんたき茶屋」の方がいい。(安福直剛)

【バックナンバー】
(1)「遊園地」 土産物屋、茶屋にぎわう

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