神戸市出身で北海道在住の映画監督の影山あさ子さんが、米軍に翻弄(ほんろう)される沖縄を見つめてきた80歳の漁師、勝ちゃんこと山城善勝さんのドキュメンタリー映画「勝(かっ)ちゃん 沖縄の戦後」を製作した。23日から元町映画館(中央区)で上映される。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設の抗議活動もする勝ちゃんは「このままでは美(ちゅ)ら海が失われてしまうことを本土の人にも知ってほしい」と話している。(石川 翠)
勝ちゃんは1944年、太平洋戦争末期に沖縄県中部で生まれた。地上戦が繰り広げられた沖縄戦で勝ちゃんを抱えた両親は日本兵にガマを追い出され、米軍の捕虜となった。59年には、母校の宮森小学校に米軍機が墜落するのを間近で目撃。事故では児童ら18人が亡くなった。70年には、コザ市(現沖縄市)で米兵による人身事故が発端となったコザ暴動にも加わった。
生活は貧しく、米軍基地から物資を盗む「戦果アギヤー」(戦果を上げる者)や、米兵相手のタクシー運転手などをしながら生活してきたが、32歳で北部の国頭村の漁師に転身。独自の漁法「一人追い込み漁」でグルクン(タカサゴ)の群れを相手に一人で数百キロ捕るほど腕を磨いた。