ソウルにある韓国最高裁=2018年
 ソウルにある韓国最高裁=2018年

 【ソウル共同】韓国最高裁は11日、韓国人元徴用工の遺族らが日本製鉄に損害賠償を求めた訴訟の上告審で、同社の上告を棄却した。同社に賠償を命じた二審判決が確定する。原告側は、元徴用工が受けた精神的苦痛への慰謝料として日鉄に1億ウォン(約1千万円)の支払いを求めていた。

 元徴用工訴訟問題を巡り、尹錫悦前政権は韓国の財団が賠償を肩代わりする解決策を発表し、李在明政権も継承する意向を示している。原告側弁護士は11日、財団への資金拠出に日本の企業や政府が参加すべきだとの考えを示した。

 原告側によると、元徴用工は1940年12月から42年4月、岩手県釜石市の日鉄釜石製鉄所で劣悪な環境下、危険な労働に従事。期間中、外出制限や監視の下、教育や職業選択の自由を奪われるなど生活の自由が大きく制限されたという。

 元徴用工の遺族は判決後「父は日本で多くの苦痛を被った。日本製鉄は賠償してほしい」と語った。

 2021年9月の一審判決で原告は敗訴したが、24年8月の二審判決では逆転勝訴した。