東京都が今夏の一般家庭向け水道基本料金を無償化することについて、神戸市の久元喜造市長は21日、「評価以前に『本当にお金があり余っているんだな』という感想に尽きる」と受け止めを語った。定例会見で記者からの質疑を受けて答えた。
都の水道基本料金無償化は、小池百合子知事が20日に表明した。光熱費の軽減でエアコン使用を促し、熱中症予防を図ろうと、夏場の4カ月間に約368億円を投じるとしている。
対照的に、神戸市は昨年10月、料金収入の減少や経費の増大を背景に、27年ぶりとなる値上げを実施したばかり。他の市町村でも値上げの動きが広がっており、都との格差が鮮明になっている。
久元市長は会見で「都の判断なので何か申し上げる立場ではない」との前提で持論を述べた。水道料金の無償化は「市として考えられない」とし、水道施設の老朽化対策を迅速に進めるための財源確保を理由に挙げた。
久元市長は、昨夏の都知事選直後の会見でも都政に言及。18歳以下への月5千円給付事業や高校授業料の実質無償化などに対して「あり余る財源を使い、地方から人が集まる傾向に拍車をかけている。東京さえ良ければという施策だ」と苦言を呈していた。
(井沢泰斗)