神戸市兵庫区の湊川商店街にある喫茶店に、時代の流れとともに機能を変えてきた電話ボックスがある。携帯電話の普及によってたばこの販売スペースに衣替えし、今年5月には、約250冊を取りそろえるミニ図書館になった。(中村有沙)
湊川商店街の中ほどにある「喫茶アップルハウス」。1966年の創業当時から入り口の真横にその電話ボックスはたたずんでいた。
街中にある標準的な大きさで、客らが使っていたが、90年代に入って携帯電話が普及。目に見えて利用が少なくなったため、電話を取り外し、代わりに需要が高かったたばこの自動販売機を置いた。ボックスごと撤去しなかったのは、費用がかからず、手軽だったからという。
だが、喫煙者がコンビニエンスストアなど店頭で購入する流れが強まり、ICカードを使った成人識別システム「taspo(タスポ)」のサービス終了が決定。ボックスの自販機も更新が必要になり、今年2月、3代目オーナーの岡部亮司さん(47)が「役目は終わった」と撤去した。
跡地の活用を考えているときに、英国やカナダで本の交換場所として電話ボックスが使われている事例を思い出した。スマートフォン教室を開くなど、店を地域のコミュニティー拠点と位置づけており、「本を通じた交流が生まれるかもしれない」とミニ図書館に作り替えることにした。
ボックスにはめ込まれていた自販機を取り外して本棚を設置。外観は、店頭の雰囲気に合うような深みのある赤色に塗った。
約250冊の蔵書は、岡部さんが選んだ。小説、漫画のほか、湊川や新開地など地域の歴史書や、神戸ゆかりの作者による自主制作の冊子「ZINE(ジン)」を並べた。本棚の一部は、寄贈本のために空けておくことにした。
利用方法は、借りたい本を選び、ボックス内にあるノートに本のタイトルと日付、名前、連絡先を記入するだけ。1回3冊まで利用でき、2週間をめどに返却するルールだ。
5月中旬にオープンしたところ、店内でコーヒーを飲みながらボックスの本を読んだり、常連客が帰り際に立ち寄ったり、「使い勝手が良い」と好評という。
広さは約80センチ四方と狭く、書籍数が限られるが、逆にラインナップが一目で分かるため、普段は興味を抱かないようなジャンルの本を手に取るきっかけにもなっているという。
岡部さんは「本を借りた人が店内でそれぞれの本について話すなど交流も生まれてほしい。将来的には商店街全体でこの図書館を使った仕掛けも考えたい」と話す。
開館時間は、喫茶アップルハウスの営業時間と同じ午前7時45分~午後5時。ミニ図書館のみの利用も歓迎。岡部さんTEL080・3800・5068























