NHK大河ドラマ「光る君へ」で注目が集まる紫式部が「源氏物語」を書き上げた和紙は何だったのか-。元多可町長の戸田善規さん(71)=多可町加美区=が、その謎に迫った著作「紫式部が愛した紙」(スタブロブックス)を7月末に発刊する。戸田さんが導き出したかった結論は多可町の「杉原紙」。大正期にいったん途絶え、復活した県伝統工芸品の手すき和紙だ。さて、戸田さんはその結論までたどり着けたのか。(小西隆久)
戸田さんは国会議員の公設秘書や旧加美町議などを経て2000年、旧加美町長に就任。2005年からは、旧中、加美、八千代の3町合併でできた多可町の町長を3期12年務めた。
退職後は和紙博物館「寿岳文庫」(多可町加美区)で語り部ボランティアを務める。「このままでは杉原紙の歴史が絶えてしまう」と危機感を募らせ、魅力と価値を広く伝えたいと考えていたところ、紫式部を主人公とするNHK大河ドラマが始まることを知った。
「紫式部が源氏物語を書いたのが杉原紙だと証明できれば、注目が集まるに違いない」。源氏物語の原本は残っていないため、特定はできないが「文献などから当時の時代背景を探り、書かれた紙を読み解くことができるのでは」と調査に取りかかった。