20日投開票の参院選兵庫選挙区(改選数3)で、3~19日の17日間となる選挙期間中、「X(旧ツイッター)」上に投稿された中で、立候補した13人の名前の表示回数を調べたところ、最上位と最下位の候補者の間に約310倍の差があった。一方、動画投稿サイト「ユーチューブ」の利用が確認できた9人が投稿した動画の再生回数については最大約1050倍の差があり、名前や主張の拡散力に大きな差が生じていた。(門田晋一)
※開票結果の確定後に修正を加えています。
【X全体】8人が1万回超え 立花氏47万、泉氏34万回
Xやユーチューブは政治や選挙の情報源として活用する人が増加。昨年の兵庫県知事選や東京都知事選などで、有権者の投票行動に影響を与えたとされる。
X上の候補者名の表示回数は、交流サイト(SNS)の分析ツール「ソーシャルインサイト」で抽出。姓名を漢字ではなく、ひらがなで届け出た8人は、本名と届け出名の双方を足し合わせた。
17日間の選挙戦で、13人の名前がX上の投稿で表示されたのは計約104万4900回。このうち最も表示回数が多かったのは諸派元職の立花孝志氏で、約47万4200回に上った。続く無所属新人の泉房穂氏は約34万3500回だった。
Xでのフォロワーは20日午後4時半時点で、立花氏は約44万1400人、泉氏は約62万4300人。インフルエンサーとしての側面を持ち、以前からSNSなどで積極的な発信を続け、知名度が高い2人が上位を占め、表示回数も30万回超えとなった。
1万回を超えたのは立花氏、泉氏を含めて8人。公明党現職の高橋光男氏は約9万5800回。立花氏、泉氏に差をつけられたものの、4番目で約3万1500回だった国民民主党新人の多田ひとみ氏の3倍だった。れいわ新選組新人の米村明美氏は約2万8200回、自民党現職の加田裕之氏は約2万5300回、日本維新の会新人の吉平敏孝氏は約1万4400回、共産党新人の金田峰生氏は1万1200回だった。
【X推移】泉氏が16日に立花氏を上回る
開票結果の上位7人に絞り、1日ごとの表示回数を見ると、立花氏は公示日の3日以降、常に1万回以上を維持。中盤でおおむね2万回を前後し、11日以降は増加傾向になった。最終日の19日に期間中の自己最多となる4万9900回表示された。何があったのか。
19日にXで投稿された立花氏の名前と関連する名詞をみると、政治団体名に含まれる「NHK」に次いで「明石駅」が328回表示され、立花氏がJR明石駅前でマイク納めをしたことに注目が集まった。また「斎藤」が183回で5位に入り、兵庫県の斎藤元彦知事との連携を求めるとした投稿も相次いでいた。
泉氏は3~4日と10~13日は1万回を割り込んだが、16日に7人の中で最多の約5万1400回を記録。16日にユーチューバーが投稿した動画が話題になった。3年前、市議らに暴言を浴びせた責任を取り、引退を表明した泉氏が「政治家引退と引き換えに刑事告訴をしないよう裏取引をしていた」との内容だった。
これを紹介する立花氏らの書き込みが拡散されたが、後日、泉氏本人や当事者らが当時の取引や刑事告訴の検討を否定した。
また高橋氏は3千~6千回前後が続いたが、最終日の19日は約2万4600回で前日の約4倍に増えた。
【ユーチューブ全体】立花氏が最多になるも、知事選の約3分の1に
ユーチューブはデータ解析サイト「ソーシャルブレード」で分析。9人が個人か党の県組織として動画を投稿し、総再生回数は約834万900回に上った。100万回以上再生されたのは3人だった。
最も見られたのは立花氏で、17日間の再生回数は約523万1800回となり、全体の約6割を占めた。数分間で自身の主張をまとめたり、泉氏や報道機関を批判したりする動画を投稿し続けた。
ただ、兵庫県の斎藤元彦知事の支援目的で立候補し、ユーチューブでの再生回数が約1700万回を記録した昨年の兵庫県知事選と比較すると、約3分の1にとどまった。
公示から1週間(3~9日)と選挙戦中盤から後半(10~16日)で3番目だったが高橋氏が約138万3900回で2番目に浮上。泉氏は約129万5600回だったが終盤に抜かれた。
諸派新人の高橋秀彰氏(約19万7400回)、吉平氏(約11万5500回)、金田氏の動画を発信した共産党県委員会(約5万3千回)、加田氏(約5万200回)と続いた。多田氏(約8600回)、藤原氏を立てた参政党県連合会(約5千回)は伸びなかった。
動画投稿数は泉氏114回、立花氏は113回と競り合った。高橋光男氏と吉平氏は77回で並び、加田氏45回、高橋秀彰氏43回、藤原氏42回、金田氏33回。多田氏は4回のみだった。
【ユーチューブ推移】高橋氏が10日以降、上昇傾向に
開票結果で上位7人の1日ごとの再生回数では、7日に立花氏が約63万8800回でトップに立った。期間中、激しく乱高下したが、自身最少の約10万1400回だった12日でも7人の中では最多だった。
高橋光男氏は10日から上昇傾向になり、泉氏は自身最多となった9日から減少傾向に転じた。加田氏は初日の3日に約3万1千回だったが、その後は低調だった。