「もう少し娘とラインでやり取りできたらいいな」と話すMさん=姫路市内

「もう少し娘とラインでやり取りできたらいいな」と話すMさん=姫路市内

 姫路市に住む60代女性のMさんの悩みは、娘2人との関係です。長女も次女も30代で兵庫県内にいますが、会う機会は年に1回あるかどうか。通信アプリでやりとりするのも用事のある時だけと言います。シングルマザーで仕事が忙しく、「娘たちに十分に向き合ってこなかったのが悪いんです」とMさん。本当はもっと言葉を交わしたいけれど、遠慮してしまう。近くて遠い親子の距離について、話を聞きます。

 -娘さん2人との今の関係性を教えてください。

 「会おうと思えばすぐ会えるけど、実際は年に1回会うかどうか。正月や盆ではなく、たまに娘から連絡があり、食事に行くくらいです。LINE(ライン)のメッセージもあまりない。私から3人のグループチャットに何か送っても反応は笑顔のスタンプだけのことが多く、どうしたらよいか分からないし。それぞれ仕事や家庭もあるし、私も連絡を遠慮しています」

 -思い悩むようになったのはいつ頃から?

 「娘たちが成人して家を出て、一人の時間が増えてからです。娘同士は連絡を取り合い、互いの苦労や悩みも知っているみたい。私は2人の内心を想像するしかなくて。突き詰めると、自分が悪いんです。仲の良い関係をつくってこなかったんだと思うんです」

 -思い当たる原因が?

 「まず2人が幼い時に離婚したこと。性格の不一致が理由でした。長女が10歳、次女が5歳の時です。経済的な不安もあり悩みましたが、結婚を続けても私が精神的に不安定になるだけで、子どもにも良くないと決心しました。離婚は後悔していませんが、2人にはいろいろ我慢させました」

 -シングルマザーで子育ては大変だったのでは?

 「いくつかの仕事を経て調理の仕事に就き、2人の大学卒業までフルタイムで働きました。発注、料理、棚卸し…。子どものお弁当も作らないといけない。朝3時に起き、残業して帰るのは夜7時。精神的にも体力的にもきつかったです」

 -子どもとの時間は?

 「ないです。ないです。日々、目の前のことに精いっぱいで。学校行事はなるべく行きましたが、家で子どもと過ごす時間をどうするか考える余裕がなかった。娘たちが何か話したくても私が聴く雰囲気を出せていなかった。反抗期みたいなのもありませんでした」

 -今の関係性は、そうした子育ての結果だと?

 「そうですね。私は、感情にまかせて怒る父と、厳しい母に育てられました。抱きしめられた経験や、褒められた記憶があまりない。反面教師にしたつもりでしたが、私も娘をなでるとかスキンシップはできませんでした。娘2人は大人になってそれぞれ手術を経験して、その時は『よく頑張ったね』と抱きしめたいと思った。でも慣れないことをすると戸惑うのではないかと思い、できなかった」

 -今後どんな変化を望みますか?

 「親子で買い物に行く人を見ると、私も娘たちと行ってみたいなと思う。今は私から誘わないし、誘いもない。もっとラインができたらいいかなって。日常のささいなことを報告し合うような。でも、娘たちに無理は言えないので『待ち』の姿勢です。関係が大きく変わるとは考えていないし、とにかく元気でいてくれることを願っています」(聞き手・那谷享平)