神戸市中央区港島中町3のマンション「ポートアイランド住宅」で、全国でも最大規模の耐震改修工事が行われている。総事業費は約19億円にも上るが、修繕積立金の値上げはない。異例の大事業は、実現までにさまざまな困難に遭ってきた。2011年、ようやく耐震改修の施工業者公募にこぎ着けたところに、東日本大震災が起きる。(斉藤正志)
■大きすぎた影響
11年3月11日に発生した東日本大震災では、福島第1原発事故も起き、未曽有の大災害になった。
ポートアイランド住宅の耐震改修工事計画も、影響を受けた。
施工業者を公募していたが、復興事業による建設需要を見越しての見積もり辞退が相次いだ。
応募のあった事業者も、見積もりが異常な高額だったり、建築資材が確保できない場合の工期延長を求めたりと、管理組合側に不利な内容ばかりだった。
国や兵庫県、神戸市から多額の補助を受けたとしても、総費用が予算を超えることは確実だった。
理事会は、耐震化計画の中止を決めざるを得なかった。
計画は、ほとんど白紙に戻った。