三田市の田村克也市長が選挙戦で掲げた市民病院再編統合の「白紙撤回」とその後の混迷が、波紋を広げている。関係する機関や市民団体は現状をどう受け止めているのか。医師を送り出す神戸大学医学部付属病院長、再編相手の済生会兵庫県病院長、さらに反対活動を続けてきた市民団体代表に話を聞いた。(橋本 薫、土井秀人)

■機能集中させるのが合理的

 県内ではこの10年ほどで公立病院の再編が進み、神戸大は4件の統合に関わってきた。真庭謙昌院長と石田達郎・地域医療活性化センター長は、市民病院再編の必要性を強調する。

 真庭院長 医療を取り巻く環境が激変している。来年からは「医師の働き方改革」が始まり、労働の枠組みに沿った中で救急、そして高度な医療を提供できる環境をつくらなければならない。両病院とも現状の規模のままでは医師が不足し、本来果たすべき役割を維持できなくなる。