地域のコミュニティーづくりをお手伝いすることがあります。自治会やPTAの担い手が減ってきている、若い世代にいろいろ参加してほしい、何かしたいけどやり方がわからない-など、地域や人によってさまざまな悩みがあります。その中でも、「やらないといけないことをする人が足りない」という相談が最も多くあります。
仕事について、Will-Can-Mustという考え方があります。Willは「やりたいこと」、Canは「できること」、Mustは「やらないといけないこと」を指します。WillとCanだけの状態は、周りからは求められていないので「趣味」となります。CanとMustだけだと、やりたくはないので「労働」に、WillとMustだけだと、できないので「夢」になります。Will-Can-Mustの三つ全てが含まれると、幸せな状態で仕事をすることができます。自分がしたいことを実現できて、周りからも求められている状態です。
私がお手伝いするコミュニティーの仕事は、Must(やらないといけないこと)だと思われていることが多いです。なので、まずそれとWill(やりたいこと)が重なる「夢」をもう一度描くことをお薦めしています。例えば、自治会などの「やらないといけないこと」という意識が強い団体も、みんなで仲良く暮らすという「夢」から始まっているはずです。年齢層が上がったり、住民構成が変わったりしたら、もう一度、今のみんなで「夢」を共有することが大切です。
もう一つは、MustとCanが重なる「労働」の棚卸しをお薦めしています。ずっと続けている活動は、いつの間にか誰もしたくなくなっていることがあります。しなくても大丈夫そうならば、みんなでやめればよいのです。これは今までの活動を否定しているのではなく、お住まいの方々に合わせて変化していくことの大切さを示しています。
Mustが含まれない、WillとCanが重なる「趣味」も大切です。例えば、写真が趣味の方がイベントの様子を撮影し、交流サイト(SNS)などの広報に使ってもらえれば、コミュニティーが楽しくなりますね。趣味の会で地域の友達ができるかもしれません。やらなくても困らないけれど、やれば楽しくなるという価値があるのです。
地域によって、団体によって、人によって、Will-Can-Mustの良いバランスはさまざまです。みんなが幸せになるバランスを、みんなで考えることが大切だと思います。