■保存会がチラシ配布、体験会も実施
港町に春を告げる賀茂神社(たつの市御津町室津)の例祭「小五月祭(こさつきまつり)」で奉納される県重要無形民俗文化財の「棹(さお)の歌」が、室津地区内の人口減少や少子化の影響を受け、存続できるかどうかの岐路に立たされている。これまでは集落内に住む若い女性8人が選抜され、演目の大役を担ってきたが、人数確保が年々困難に。神社の氏子らは来年の例祭に向けて、初めて地区外からの参加者募集に踏み切った。チラシを配ったり体験会を催したりして、伝統行事に理解を深めてもらおうと知恵を絞る。(西竹唯太朗)
小五月祭は、男たちが荒々しく屋台を担ぐ播磨の秋祭りとは一線を画し、華やかな衣装に身を包んだ女性が中心となる伝統行事だ。
そのメインとされる棹の歌は平安時代、同地区の遊女「室君」が神社の神を慰めようと男装で奉納したのが始まりという。謡曲の原型ともいわれ、現在まで歌い継がれているのは同神社だけとされる。現在は毎年4月上旬に営まれ、かみしも姿の女性が太鼓と小鼓を演奏。その音色に合わせ、室君役と巫女装束に身を包んだ地元の小学生が歌を奉納している。
これまで演目の中心となる室君役など8人は、地区内の18歳の女性が毎年引き継ぎ、伝統を守ってきた。だが、十数年前から人数の確保が困難に。対象年齢を中学生~20歳前後まで広げるなどしてきたが、それでも近年は人を集めるのが難しく、今年は6人で行った。