神戸-柏 前半、シュートを放つ神戸のエリキ(27)=ノエビアスタジアム神戸(撮影・丸山桃奈)
神戸-柏 前半、シュートを放つ神戸のエリキ(27)=ノエビアスタジアム神戸(撮影・丸山桃奈)

 明治安田J1リーグ第29節第1日の12日、ヴィッセル神戸はノエビアスタジアム神戸(神戸市兵庫区)で柏レイソルと対戦し、0-0で引き分けた。16勝6分け8敗の勝ち点54となった。

 試合終了の笛と同時に場内は静まりかえった。終盤戦の重要な上位対決で、神戸はホームで最低限の無得点ドロー。「負ければ優勝争いから後退する」(扇原)と覚悟した戦いで踏みとどまった。

 高い強度でぶつかり合った。「できるだけ相手の陣地でプレーを」(山川)との狙い通り、前半は押し込む時間帯が長かった。やや強度が落ちた後半は耐える時間が増えたものの守り抜いた。

 神戸はトゥーレルが出場停止、永戸も今夏加入後初めて欠場。最終ラインの非常事態で代わった2人が意地を見せた。

 9試合ぶりに先発した飯野は激しい守備でピンチの芽を摘み、敵陣深くに切り込んだ。12試合ぶり先発の本多も「やるしかない」と、相手のシュートコースを未然に消し、ピンチで足を出した。

 残り数分。途中出場のジェアンパトリッキが左サイドを切り裂いて好クロスを上げるも大迫に合わず。追加タイムには、自陣ゴール前への決定的なクロスを山川がスライディングで難を逃れた。

 全治8カ月の大けがを負ったGK新井を思い、背番号21のTシャツで入場したイレブン。「全員が(新井)章太君のために」(扇原)と気持ちを一つにした。他の2試合もドローに終わり、混沌(こんとん)とした状況は続く。「チームの規律を明確にしてやれば勝てる自信がある」(吉田監督)と信じて残り8戦に臨む。(井川朋宏)