藤本義一さんの遺影の前で石綿被害の根絶について話す長女の中田有子さん=芦屋市奥池町、ギャラリー「藤本義一の書斎」(撮影・三津山朋彦)
藤本義一さんの遺影の前で石綿被害の根絶について話す長女の中田有子さん=芦屋市奥池町、ギャラリー「藤本義一の書斎」(撮影・三津山朋彦)

 直木賞作家でテレビでも活躍した藤本義一は中皮腫を発症し、2012年、79歳で死去した。「国はアスベスト(石綿)の危険性を知っていた。対策を取ることもできた。でもやらなかった」。長女の中田有子(63)は憤る。十三回忌となる今年は年明けに能登半島地震が起き、がれきに埋まる被災地の惨状に触れ、阪神・淡路大震災の被災地を見つめた在りし日の父の姿が思い出された。