東日本大震災の津波で甚大な被害を受けた宮城県石巻市。発災後しばらく空がかすみ、地域医療の中核を担う石巻赤十字病院では肺炎やぜんそくの患者が急増した。
院長補佐の矢内(やない)勝(呼吸器内科)によると、震災発生から2カ月で同科に緊急入院したのは前年同期の3倍に当たる316人。うち肺炎は215人を占めた。
市内では海底から運ばれたヘドロが乾き、粉じんとなって舞った。避難所の劣悪な衛生環境なども重なり、体調を崩す人が相次いだ。矢内は「家の片付けなどで粉じんを吸い、肺炎を発症したケースもあった」と振り返る。
被災地ではアスベスト(石綿)など有害物質を含むがれきが大量に発生した。市内で処理した災害廃棄物は、平時の約78年分となる約428万トン。当初は多くが分別されず、仮置き場に放置された。