■家屋倒壊 今なお700万戸が未耐震住宅
神戸市東灘区の高台にある自宅の寝室に、28歳で逝った次男真輔(しんすけ)さんの遺影が飾られていた。
灰色のスーツに黒と白のチェック柄のネクタイ。日焼けした顔に白い歯を見せた笑顔で、優しくこちらを見つめている。
「朝起きたら『真君、おはよう』。寝る前には『おやすみ』って。欠かさず声をかけるのよ」
母の三宅弥生さん(83)が写真を眺めて目を細める。手帳にはいつも真輔さんの写真を入れて持ち歩く。
「ずっとそばにいてくれてるんやって。そう思えるから」。9年前に夫が他界。西宮から神戸に移り住んだ。
能登半島地震の映像をニュースで見ると、阪神・淡路大震災と重なる。