兵庫県の斎藤元彦知事に対する告発文書問題で、兵庫県議会の全議員86人が、知事に対する不信任決議案を19日の定例会初日に共同提出する方針で一致したことが12日、各会派への取材で分かった。県政の信頼を損なったなどとして、12日までに全会派、全議員が知事に辞職を要求。斎藤知事は受け入れず続投の意志を示しているため、県議会は法的拘束力のある不信任決議に踏み切る予定で、可決は確実視される。知事が議会を解散する可能性もあり、局面は緊迫している。
自民党(37人)、公明党(13人)、ひょうご県民連合(9人)、共産党(2人)の4会派と、無所属4人は12日に即時辞職を申し入れた。県政が「危機的状態にある」と指摘し、自民の北野実幹事長は「(知事に)全会派一致の要求を重く捉えてほしい」と強調した。第2会派の維新の会(21人)は先んじて9日に辞職と出直し選挙を申し入れていた。
各会派は12日、定例会までに斎藤知事が辞職しない場合の対応を協議し、自民県議団は不信任案を提出すると正式に決めた。19日に県議会に提出される物価高騰対策などを盛り込んだ補正予算案は「県民の生活への影響が大きい」として認める方向でまとまり、即日議決した上で不信任案を提出し、可決を目指す。
9日に単独で辞職を申し入れた維新も12日に総会を開き、終了後に取材に応じた岸口実団長は「全会派で協調して不信任案を出す方向はまとまった」と明かした。公明は13日の総会で協議するが、共同提出に前向きな姿勢。また、12日の議会運営委員会で不信任案の提出を呼びかけた県民連合の上野英一幹事長は「最終的に目指すところは同じだ」と手応えを口にした。
共産や無所属議員も同調する意向を示している。
不信任案は全議員の3分の2以上が出席し、その4分の3以上が賛成すると可決する。可決した場合、知事は10日以内に議会を解散しなければ失職する。知事が失職を選択した場合、50日以内に知事選を実施。議会解散を選べば40日以内に県議選が行われ、改選後の議会で3分の2以上が出席し、過半数が賛成すれば不信任決議が成立し、知事は失職する。
総務省によると、過去に都道府県知事に対する不信任決議案が可決されたのは4例のみで、いずれも知事が辞職や失職を選び、議会解散は行われなかった。(前川茂之、岩崎昂志、井沢泰斗)