兵庫県議会で不信任決議案が全会一致で可決され、投票結果を聞く兵庫県の斎藤元彦知事=19日午後、神戸市中央区(代表撮影)
兵庫県議会で不信任決議案が全会一致で可決され、投票結果を聞く兵庫県の斎藤元彦知事=19日午後、神戸市中央区(代表撮影)

 兵庫県の斎藤元彦知事らのパワハラ疑惑などが文書で告発された問題で、県議会(定数86人)の全会派と無所属議員が19日、斎藤知事への不信任決議案を共同提出し、全会一致で可決した。斎藤知事は10日以内に辞職または失職か、県議会を解散するかを求められる。対応を問われた斎藤知事は明言を避け「議会側の大変重い選択。しっかり考えたい」と判断を留保した。

 知事に対する不信任決議は兵庫県政史上で初めて。また、総務省が把握する1966年以降、知事不信任決議は全国で5回目。これまでの4例はいずれも知事が失職や辞職を選んでおり、斎藤知事が議会解散を選べば全国初とみられ、知事の判断が焦点となる。

 不信任決議案は、自民党(37人)、維新の会(21人)、公明党(13人)、ひょうご県民連合(9人)、共産党(2人)の全5会派と無所属議員4人が共同提出した。決議文は、斎藤知事が行政の長として資質を欠くと指摘。これから編成する新年度予算は「新たに県民の信任を得た知事の下で編成されるべきだ」とした。

 2021年の知事選で斎藤知事を推薦した自民は、提案理由を「県民や県職員からの信頼回復は見込めず、これ以上県政を担うことは困難」と説明。続く賛成討論では、自民とともに斎藤知事を推薦した維新が「よい県政を進めたい考えなら県民に信を問うことが近道」とした。公明、県民連合、共産と無所属議員2人も賛成討論した。

 不信任決議が成立し、斎藤知事は29日までに議会を解散しなければ30日付で失職する。自ら辞職する選択もあるが、知事は「これから対応を考える」とした。

 一連の問題では、元西播磨県民局長の男性が3月、知事や幹部の疑惑を告発する文書を作り、報道機関などに送付。公益通報窓口にも通報したが、県は内部調査で男性を停職3カ月の懲戒処分とし、男性は7月に死亡した。斎藤知事は不信任決議の後、対応に問題がないとする従来の考えを述べたが、全会一致での可決に「結果責任は重い」とした。

 斎藤知事が失職、辞職した場合は50日以内に知事選を実施。知事が議会解散を選んだ場合は40日以内に県議選が行われる。改選後の新議会で再び不信任案が提出され、3分の2以上の議員が出席し過半数の賛成で可決すると、知事は失職する。(金 慶順)