移送され、加古川署に入る勝田州彦容疑者=27日午前11時22分、加古川市平岡町新在家
移送され、加古川署に入る勝田州彦容疑者=27日午前11時22分、加古川市平岡町新在家

 兵庫県加古川市で2007年、小学2年の女児=当時(7)=が刺殺された事件で、兵庫県警加古川署捜査本部は27日、たつの市の小4女児に対する殺人未遂容疑で逮捕していた勝田州彦容疑者(45)を、小学2年の女児に対する殺人の疑いで逮捕した。

 捜査関係者によると、逮捕前の任意の聴取で「女の子を刃物で刺した」と関与を認めていたが、逮捕後は「黙秘します」と話しているという。捜査本部は、任意聴取での供述を精査し、慎重に裏付けを進める。

 逮捕容疑は07年10月16日午後6時ごろ、加古川市別府町で、近くの公園から自転車で帰宅した小学2年の女児の胸などをナイフで刺して殺害した疑い。女児の傷は心臓にまで達し、死因は失血死だったという。

 勝田容疑者は当時、同市内に居住していたとされ、捜査本部は、現場付近に土地勘があったとする一方、女児との面識はなかったとみている。

 県警は、幼い女の子を刃物で襲う類似の手口から、岡山県津山市の小3女児が殺害された事件で服役していた勝田容疑者に、今年5月末ごろから任意の聴取を開始。当初は容疑を否認したが、調べを重ねると、関与を認める供述をしたという。

 容疑者の特定まで17年を要した経緯について、逮捕を発表した捜査幹部は「客観的な証拠が非常に乏しかった」と説明。「絶対に風化させてはならない事件で、必ず検挙するとの強い信念のもと、総力を挙げて捜査してきた」と述べた。

 兵庫県警は今月7日、たつの市の小4女児殺人未遂事件で勝田容疑者を逮捕。刺した行為を認めつつ「殺すつもりはなかった」と話すなど一定の説明をしたとされるが、今回の逮捕では認否に言及しておらず、捜査本部は慎重に調べる。

 勝田容疑者は、津山市の小3女児殺害事件の捜査でも、任意の聴取では現場となった民家の間取り図を描くなど容疑を認めたが、逮捕後は否認に転じた経緯がある。その後の裁判では自白の信用性が認められ、無期懲役の有罪判決が確定した。

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【加古川の小2女児刺殺事件】2007年10月16日午後6時ごろ、加古川市の小学2年の女児=当時(7)=が自宅から約500メートル離れた公園から自転車で帰宅直後、左胸と腹を刃物で刺され、搬送先の病院で死亡した。司法解剖で失血死と判明。兵庫県警は殺人容疑で加古川署に捜査本部を設置。これまでに捜査員延べ5万人以上を投入し、捜査を続けていた。女児は搬送時、刺したのは「大人」「男」と救急隊員に話していた。