「本当に採用する気があるのだろうか。合否判定に疑問が残る」。神戸市教育委員会の採用試験を障害者特別選考で受け、不合格となった兵庫県内在住の30代男性から、神戸新聞に憤りの声が届いた。受けた職種は教育事務職員で、募集枠は「若干名」。男性は受験者4人のうち、唯一、最終試験に進んだが採用されなかった。さらに「ここ5年、障害者特別選考では一人も合格していない」という。市教委に事情を取材した。(鈴木久仁子)
男性には中程度の運動機能障害があり、身体障害者手帳を所持する。過去にも一般企業や行政機関に勤めた経験があり、コミュニケーションに不自由はほぼない。教育事務職員は主に学校現場で事務全般を担う。男性はかねて教育に携わる仕事を希望しており、志願を決めた。
1次試験は昨年秋にあり、男性は筆記試験を通過してグループディスカッションに。ここでは障害者特別選考以外の受験者とも討議した。「自分に得意なテーマが出たし、滞りなく意見も言え、手応えもあった」と男性。進んだ最終の2次試験では小論文と個人面接があり、「失敗は思い当たらない」という。