ドローンを警戒する前線のウクライナ兵=2024年4月(玉本英子さん撮影、提供
ドローンを警戒する前線のウクライナ兵=2024年4月(玉本英子さん撮影、提供

 黒海に面したウクライナ南部のオデッサ。ロシア軍に破壊された街で、避難民支援に加え、傷ついた兵士の慰問に奔走する日本人宣教師がいる。

 船越勇貴さん(24)。加古川市出身の両親を持ち、ウクライナで生まれ育った。

 現地の教会には多くの負傷兵が身を寄せる。戦争の長期化が、死と隣り合わせの兵士たちの心にも深刻な傷痕を残しているという。

 「当初、若者たちは愛国心から戦場へ向かったが、今は心の底にトラウマを抱える兵士が増えた」

 船越さんはそう肌で感じ、一日も早い平和を願う。ただ、トランプ米大統領の就任後、米露二国間で和平交渉を先行させる動きに不信感を募らせる。「ウクライナ市民は罪のない家族、友人を虐殺された記憶を忘れていない。ウクライナの声を聞かない和平交渉には意味がない」と話す。