北摂地域の特産・原木シイタケが危機に陥っている。豊かな里山の自然を背景に農家や観光農園が栽培に力を入れてきたが、近年はシカ害や人手不足が深刻化。東日本大震災の余波もあり、土台となる原木が減少し、仕入れコストが上昇している。生産者らは「個人の努力では限界がある。里山を守るためにも、抜本的な支援が必要だ」と訴えている。(黒田耕司)
■シカ害や人手不足…原発事故も追い打ち
川西市や三田市、兵庫県猪名川町などの生産者や販売関係者らでつくる「北摂原木しいたけ振興協議会」によると、現在、主流のおがくずで育てる菌床栽培が戦後に普及。このため、コストの高い原木シイタケの割合は年々減少し、農林水産省の調査では2005年に28%だったが、22年には6・3%に落ち込んだ。
シイタケの収穫体験ができる「しい茸ランドかさや」(三田市上相野)の中西孝之さん(43)によると、以前は9万本ほどの原木を保有していたが、仕入れが減り、現在は半分ほどになっているという。