鈴木商店を題材にした講談会の開催をPRする旭堂南龍さん(左から2人目)ら=5日午後、神戸市役所
鈴木商店を題材にした講談会の開催をPRする旭堂南龍さん(左から2人目)ら=5日午後、神戸市役所

 明治・大正期、神戸港を舞台に発展した巨大商社「鈴木商店」の破綻・再出発から100年となる2027年を前に、足跡をたどる講談会や、創業の地にモニュメントの建立が計画されている。27年は神戸港開港160年とも重なり、港都を背景に急成長を遂げた歴史と、今につながる動きを改めて振り返る機会になりそうだ。

 講談会のタイトルは「鈴木商店 百折不撓~知られざるその後~」(ラジオ関西主催、神戸新聞社など後援)。11、12月の6日間、神戸市中央区の神戸新聞松方ホールなどで開かれる。商社の成り立ちや経営破綻後の知られざる物語を、上方講談師の旭堂南龍さんが語る。

 1874年(明治7)年に創業した鈴木商店は、造船や製鉄など80もの事業に進出して日本一の商社となったが、金融恐慌で1927(昭和2)年に経営破綻。講談では大番頭の金子直吉に育てられた社員たちが事業を受け継ぎ、現代の大企業につながっていくまでの物語も描くという。

 南龍さんは「米騒動による焼き打ちや経営破綻があっても、金子ら登場人物は何度も立ち上がった。その姿に何か感じてもらえれば」と期待を込めた。

 会見では総合商社双日(東京)など鈴木商店にルーツを持つ企業が協力し、27年に創業の地である同市中央区栄町通4にモニュメントを建立することも明らかにした。

 モニュメントは開港150年となる17年にも本店跡地の栄町通7に設置しており、かつての本店の写真とともに鈴木商店の歴史が記されている。双日の担当者は「複数のモニュメントを置くことで、(関心のある人が)跡地を巡るような動きにつながり、まちの活性化にも貢献できれば」と話した。

 講談会は11月7、24、27、28、30日、12月1日。会場は松方ホールのほか、神戸新開地・喜楽館(神戸市兵庫区)とWADAホール(同市中央区)。チケットは2500円で、7日からローソンチケットで販売を開始する。(井沢泰斗)