有識者会議の冒頭であいさつする斎藤元彦兵庫県知事=21日午前、県庁
有識者会議の冒頭であいさつする斎藤元彦兵庫県知事=21日午前、県庁

 耐震性不足に伴う兵庫県庁舎の建て替えについて、県は21日、新庁舎の整備費は約650億円になるとの見通しを明らかにした。仮移転などの関連経費を含め計約810億円かかると見込む。同日の有識者検討会で示した。斎藤元彦知事が以前の計画を凍結後、事業費を公表したのは初めて。

 検討会で斎藤知事は「外郭団体の入居をやめるなど大胆な見直しをした」と成果を強調した。

 県の基本構想案では、耐震基準を満たさない1、2号館と議場棟、県民会館などを解体し、1号館跡に新庁舎と旧県民会館を一体整備するとしている。

 井戸敏三元知事時代の2019年の前計画では、高級ホテルの誘致を含め整備費を約700億円と見込んだ。その後物価高騰で1千億円を超えると判断され、斎藤知事が21年の就任後に計画を凍結。事業費の大幅な圧縮を掲げ、昨年11月の知事選では500億円前後を目標とした。

 県は21日の会議で、新庁舎群の面積が前計画比3割減の約9万2千平方メートル、整備費は同360億円減の約650億円との概算を提示。有利な財源を使い、実質負担は約560億円に抑えるとした。一方、民間オフィスへの仮移転などの関連経費は前計画比100億円増の約160億円という。

 検討会会長で大阪公立大大学院の嘉名光市教授は会議後の取材で、今後の建設費高騰のリスクに言及。「今のトレンドでは3年後に上振れしていることが十分起こりうるとしっかり認識してもらうように、との意見があった」と明かした。

 県は11月にパブリックコメント(意見公募)を実施予定。28年度以降の着工、30年代前半の完成を目指す。(井上太郎)