衆院選が投票された8日午後8時過ぎ、新党「中道改革連合」の比例代表候補2人に、静かな当選確実の報が届いた。公明党出身で、それぞれ小選挙区の兵庫2、8区で当選してきた赤羽一嘉氏(67)と中野洋昌氏(48)。自らの議席を守るこれまでの選挙とは全く様相の異なる12日間だった。
赤羽氏は2区で計10回の当選を果たしたベテラン、8区の中野氏も公明伝統の議席を受け継ぎ、5選を重ねた中堅のホープだ。しかし昨年10月の連立政権離脱、突然の立憲民主党との新党結成により、公明は小選挙区からの撤退を決定。両氏も指定席を立民出身の新人に譲ることとなった。
「特に赤羽さんは小選挙区で出たかったはず。30年間も議席を守ってきたんだから」。県内の公明議員は心情を推し量った。
迎えた公示日。2人の名前は中道の比例代表名簿の近畿ブロック1、2位に載っていた。この時点で、当選が確約されたようなものだった。
そして始まった、急造組織による選挙戦。これまでは自らのために地元で組織固めを図っていた2人は、それぞれ新党の「副代表」「共同幹事長」として、仲間の支援に県内外を回る役割が課せられた。
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「自分の名前が入っていないタスキをかけるのは初めてだ」。公示日、神戸市内で斉藤鉄夫共同代表と演説した赤羽氏は、違和感を隠さなかった。
隣に立つ立民出身の2区新人の名前を口にしたのも一度きり。演説直後に声をかけると、言葉少なに語った。「われわれも、支援者もわだかまりはあった。でも、今回は立民候補を推すわけじゃない。立民を出て新党に移った候補を推すんだ」
選挙中盤、全国で中道の劣勢が報じられる。再び神戸市内で開かれた演説会では言葉に熱がこもった。
千人を超える公明支持者を前に立民新人の名前を2度叫び、「大逆転勝利にお力添えを」と同志のために頭を下げた。壇上では立民の地方議員らと並び立ち、労働組合式の「ガンバロー」で拳を突き上げた。
一方、中野氏は大阪や京都だけでなく、東京や関東でも激戦区の応援に駆り出された。関係者によると、兵庫入りは数日だけ。
野田佳彦共同代表や8区の中道新人と演説した3日には、「(自民党が訴える)『強い国家』や『強い経済』も結構だが、大切なことは、その先にある暮らしを守るための政策を前に進めること。それを真正面から訴えているのはわれわれだ」と支持者に呼びかけた。
報道各社は事前の調査で、中道の苦しい情勢を報じている。過去、最も静かな当選を果たした2人には、新党の中核メンバーとして困難な道のりが待ち受けそうだ。(井沢泰斗)























