兵庫県たつの市出身のノンフィクション作家、栗田シメイさんが「檻の中のルフィ 闇バイトを生んだ者たち」(講談社)を刊行した。人気少年漫画の主人公を名乗り、2022~23年に全国で広域強盗事件を起こした「ルフィグループ」の内幕を生々しく描き出す。
交流サイト(SNS)の闇バイトで集めた若者らを、フィリピンから遠隔で操る。死者も出した一連の強盗事件は、匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)の台頭を社会に知らしめ、犯罪史の転換点となった。
その母体は特殊詐欺グループだった。栗田さんは幹部の小島智信被告と40回面会し、「伝説のかけ子」と呼ばれた女性から400枚の手記を受け取ってきた。
書籍では膨大な証言を基に、リーダー格の渡辺優樹被告が「人心掌握の天才」として企業のようなピラミッド型の巨大組織を築き、60億円もの犯罪収益を得ていく過程を明らかにする。
幹部らはフィリピンで豪遊し、贅を尽くすが、対立組織との抗争や仲間の裏切りで組織は瓦解。地元当局に身柄を拘束されると、収容所の中から脱走資金をつくろうと焦り、特殊詐欺のノウハウを強盗に転用し、手口を凶悪化させていく。
栗田さんは、彼らのルーツや内面に迫り、むき出しの欲望、仲間内の打算、嫉妬、猜疑心をあぶり出してトクリュウの本質を記す。
「どこまでいっても『闇バイト』の応募者は“喰われる”側でしかない」。現代日本の闇を暴いた一冊。税込み1870円。(安藤文暁)
























