サッカーの天皇杯全日本選手権は10日、3回戦15試合があり、J1のヴィッセル神戸は鳴門ポカリスエットスタジアム(徳島県鳴門市)でJ2の徳島ヴォルティスと対戦し、佐々木と大迫のゴールで2-0で勝利した。
昨季王者が苦しみながらも勝利を手にした。神戸は後半21分、初瀬の左クロスに、佐々木がゴール前で競り勝ち、頭で合わせて先制。前半に味方が奪ったPKを失敗していただけに、自ら取り返す一撃で流れを変えた。
リーグ戦の前節から先発9人を入れ替え、通常と異なる3バックで臨んだ神戸。吉田監督が「天皇杯は難しい大会」と語った通り、序盤に岩波のバックパスが短くなってピンチを招くなど連係がかみ合わない。前半終了間際、その岩波からのサイドチェンジで初瀬が倒されてPKを奪った場面以外は、攻撃では手詰まり状態が続いていた。
佐々木は昨季リーグ戦7得点とブレークして初優勝に貢献したが、今季はここまで2得点。チームが得点力不足にあえいだ時期に「ゴールを決めるだけ」と語っていた言葉を、ここで形にした。
仕上げはベンチに控えていたエース大迫だ。後半27分に途中出場すると、直後の28分、左サイドを切り裂いたジェアンパトリッキのパスに、直接合わせて正確なシュートを突き刺した。これでリーグ戦から公式戦3戦連続弾となった。
YBCルヴァン・カップに続き、序盤戦でタイトルを易々と逸するわけにはいかなかった。出番が少ない選手に対し、「特長を出して存分にアピールを」との指揮官の期待はかなわなかったが、主力組が底力を示す形となった。(井川朋宏)