パリ・パラリンピックの車いすテニス女子シングルスで6日、上地結衣(30)=三井住友銀行、明石商高出身=が4度目の挑戦を実らせ、悲願の金メダルを獲得した。5日のダブルスに続き、日本勢初となる2冠を達成。「やりきった。自分によくやったと言ってあげたい」。小学4年生ごろに歩けなくなり「なんで、みんなと違うの?」と、ふさぎ込む心を救ってくれた競技で、最高の結果を手にした。(有島弘記)
明石市出身の上地が、選手として神戸新聞に初めて登場したのは、市立大久保小6年の2006年4月。以降も本紙のインタビューにたびたび応じてきた。
「補装具を着けないと歩けなかったけど、歩いた方がいいと言われていた。ドッジボールやサッカーはみんなに交じって。体を動かすのが好きだった」
生まれつき脊椎に障害があったが、歩いて小学校に通い、体育などの授業も担任らのサポートを受けながら同級生と同じように過ごした。だが、4年生になると、体重が増えて脚で支えきれなくなり、車いすを頼るようになった。
友だちと外に遊びに行くことが減り、落ち込んだ。見かねた両親が車いすでもできるスポーツを探してくれ、最初はバスケットボールだった。その後、4学年上の姉がソフトテニスを始めたことから、上地もテニスにかじを切った。