青空の下、城山の山頂から大声で叫ぶコンテストが、兵庫県福崎町八千種の春日山(標高198メートル)で初開催された。参加者は山城の歴史に思いをはせたり、ここぞとばかりに日頃のうっぷんを晴らしたり。眼下に望むまち並みに向けて声を響かせる爽快感を味わった。(喜田美咲)
春日山城は建武年間(1334~36年)に築かれたとされる山城で、播磨の守護赤松氏の配下、後藤基明が初代城主と伝わる。山上には食糧庫跡とみられるくぼ地が残る。
コンテストは同町が毎年開く登山イベント「いざ登らん! 春日山城!」の一環。一風変わった楽しみ方で繰り返し観光客に訪れてもらおうと企画した。
山頂に設けたお立ち台から住宅や商業施設などが立ち並ぶ眼下に向かって、10秒間に収まる言葉を叫び、約3メートル先に置いた騒音計で声の大きさを記録する。「初陣」となった今回は町内外から26人が集まり、小学生以下と60歳以上、一般の3部門で競った。
「ガジロウ」と町の人気キャラクターの名前を叫ぶ子どもがいれば、「本物のビールが飲みたい」「油ものが食べたい」と切実な願いを発するお父さんも。尾﨑吉晴町長も60歳以上の部門に出場し「福崎町大好き」と叫んで2位に輝いた。
各部門ベスト3に入った参加者には、地元米や福崎町名物「かっぱサイダー」一箱などの賞品が贈られた。フレーズが面白かった人には特別賞が授与された。
置塩城跡(姫路市夢前町)のボランティアガイドを務める会社員日野有香子さん(46)=同市=は「殿、城が落ちました」などと叫び特別賞を受けた。応仁の乱で但馬の山名氏の軍勢を破った功績や、羽柴秀吉軍に攻め落とされた歴史に思いを寄せ「城兵の気持ちになって叫んだ。恥ずかしさもあったが、気持ちよかった」とさわやかな表情。
小学生以下の部で優勝した八千種小2年の今田陽さん(8)は、普段親から注意されることもある持ち前の大声で97・8デシベルを記録。「学校でも大きな声で発表したい」と笑顔を見せた。

























