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講演する西村光広・神戸大大学院医学研究科助教=但馬文教府
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講演する西村光広・神戸大大学院医学研究科助教=但馬文教府

 但馬文教府であった市民講座「これだけは知っておきたい 新型コロナウイルス感染症」。2人目の講師で登壇した神戸大大学院医学研究科助教の西村光広さんは、感染症が動物からヒトに拡大していくメカニズムなどについて語った。要旨は次の通り。(まとめ・丸山桃奈)

 「人獣共通感染症」とは、脊椎動物から人間にうつる感染症をいう。病原体を持つ動物が自然宿主。中間宿主とは自然宿主から感染し、ヒトに直接、病原体を媒介する動物をさす。

 2002年に発生した重症急性呼吸器症候群(SARS)はハクビシンが中間宿主で、キクガシラコウモリが自然宿主であることが研究で分かった。新型コロナウイルスはコウモリ由来と考えられるが、中間宿主は不明な点が多いまま。また、ヒトからヒトへの感染が効率よく起こり、動物由来での感染がほぼ存在しないという特徴がある。

 14年に流行したエボラウイルスもコウモリが由来で、サルから伝播したといわれている。コウモリは、コロナをはじめとした新旧のウイルスを多数保持している。ほ乳類約4千種類のうち、実に4分の1がコウモリ。今後もコウモリは新興感染症の発生源となりうる。

 重症肺炎を引き起こすウイルスが出る前は、新型コロナ(COVID-19)は風邪のウイルスだと考えていた。「OC43」のコロナウイルスは1889年から2年間大流行し、SARSのように大騒ぎを起こしたロシア風邪の原因だといわれている。だがそのウイルスも、ただの風邪のウイルスと考えられている。現在、風邪の原因とされているヒトコロナウイルスも源流をたどってみると、野生動物が由来であると考えられている。新型コロナも将来的には風邪ウイルスの一つになるのではないか。

 注目すべきコロナウイルス感染症は非常に多くある。それぞれが近い遺伝子的背景で関係性を持つことから、身の回りの動物やヒト、環境のほか、全てを含めた「ワンヘルス」という概念(でヒトと動物の共通感染症を防ぐこと)が、コロナウイルスに関しては特に重要だ。

【にしむら・みつひろ】 2002年に大阪大理学部生物学科を卒業。同大微生物病研究所特任研究員や神戸大大学院医学研究科学術研究員などを経て、16年から同大助教を務める。

【連載一覧】
(上)「3回目接種、抗体増え有効」神戸大大学院医学研究科・森康子教授
(下)「限られた病床 有効活用」豊岡病院呼吸器内科部長・中治仁志氏

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