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本番に向けて稽古に励む子どもたち=豊岡市但東町中山
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本番に向けて稽古に励む子どもたち=豊岡市但東町中山
会場の一つとなる日出神社の農村歌舞伎の舞台=豊岡市但東町畑山
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会場の一つとなる日出神社の農村歌舞伎の舞台=豊岡市但東町畑山

 15日から兵庫県豊岡市などで開かれる「豊岡演劇祭2022」の参加団体には、地域と密接に関わりながら作品作りをしてきた劇団もある。京都市の「烏丸ストロークロック」は、2年かけて同市但東町の歴史を調べ上げて作ったオリジナル神楽「但東さいさい」を、同町内の神社にある農村歌舞伎舞台で上演する。出演するのは地元の小学1年~中学2年の14人で、本番に向けて稽古を重ねている。(石川 翠)

 烏丸ストロークロックは、地域での取材をもとに短編作品を手がけ、数年かけて長編作品へ作り上げる手法に定評がある。代表の柳沼昭徳さん(46)は、岸田國士戯曲賞へのノミネートや、京都市芸術新人賞を受賞するなどしている。

 同市但東町との関わりは、2020年の豊岡演劇祭のフリンジプログラムに参加したことがきっかけ。より地域との関係を深めたいと作品作りを続けてきた。当初、同町に舞台芸術の文化はないと思っていたが、調べていくうちに、かつて農村歌舞伎が行われていた舞台が20カ所ほど残っていることを知った。柳沼さんは農村歌舞伎について、「江戸時代から地方巡業の歌舞伎が各地ではやり、鑑賞していた地元の人たち自身が演じ始めた『地芝居』がルーツ」と推測する。

 地元住民の中には、わずかに記憶にとどめる高齢者がおり、「内容は覚えていないけど、上演中に見上げた星空がとてもきれいだった」と思い出を語ってくれたという。「密接につながる自然と人の暮らし」をテーマに、作品作りを始めた。

 同町の前身である合橋、資母、高橋の旧3村に由来する三つの地区ごとに短編を制作した。蔵雲(ぞううん)寺(同町中山)にある大きな杉で、どんな迷いの深い人も正しい道に導くという言い伝えがある「説法杉」の民話をもとにしており、主人公の青年が遠く離れた土地から故郷を目指して戻ってくるという内容。ロードムービーのように3地区を順に巡っていく。

 出演する子どもたちは3チームに分かれて、朗読や舞、おはやしを順番に担当し、今年6月から十数回練習を重ねてきた。劇団メンバーから「胸を開いて、頭の位置をキープした姿勢を保って」などと言われながら、歩いたり、しゃがんでジャンプをしたりする動きの練習をしていた。

 但東中学校2年の女子生徒(14)は「動きが難しいけど、すごく楽しくて毎回欠かさず練習に来てる。本番は緊張するけど見てほしい」と話していた。

 但東町は同市内で最も人口が少なく、減少が続く。柳沼さんは「子どもたちが地元に居続けることは難しくても、生まれ育った地域が他の場所にはないものがあったなと、思いを寄せる一つにしたい」と意欲を示す。「コロナ禍で窮屈になっている心がほぐれる作品になれば」と語った。

 上演は、21日午後6時・高橋地区の一宮神社(満席)▽23日午後4時・合橋地区の岡神社(満席)▽25日午後4時・資母地区の日出神社-の3回。1時間前から地元住民による出店などもあり、いずれも入場無料。

 観劇は日出神社のみわずかに残席があり、ウェブサイトかフェスティバルセンターの窓口、電話で予約が必要。無料。フェスティバルセンターTEL050・5527・7241

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 神戸新聞社は、15日に開幕する「豊岡演劇祭2022」の紹介動画を作製しました。プロデューサーの松岡大貴さんと担当記者の対談形式で、概要やプログラムの見どころなどを伝えます。ユーチューブの神戸新聞チャンネル(https://www.youtube.com/c/kobedigital)で14日正午から配信します。

【特集ページ】豊岡演劇祭

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