但馬杜氏組合の杜氏らが酒造シーズンの安全を祈願した=黒野神社
但馬杜氏組合の杜氏らが酒造シーズンの安全を祈願した=黒野神社

 酒造りの季節を前に、但馬杜氏組合(松本幸也組合長)は、兵庫県香美町村岡区村岡の黒野神社で、安全祈願祭を開いた。西日本各地の酒蔵で働く杜氏ら約20人が良酒の醸造とシーズン中の健康・安全を願った。

 美方郡の山間部では、古くから冬場の出稼ぎとして酒造りに携わる人が多く、西日本各地で活躍した但馬杜氏は日本四大杜氏の一つに数えられる。

 現在の組合員は、酒造りを統括する杜氏29人と蔵人24人の計53人。但馬杜氏の技術を受け継いで組合に所属している人も多く、約半数が県内で、残り半数は近畿や中国・四国など2府9県で酒造りに励む。但馬地域の組合員は4蔵7人。

 杜氏約20人が出席した4日の安全祈願祭では、田中基彦宮司(86)が人数分のお守りを授与。池成均副組合長(56)は「今年もよい酒を造り、来年桜の咲く頃にまた会いましょう」とあいさつした。

 10月下旬から滋賀県草津市の酒蔵に入る南部孝春さん(75)=香美町村岡区熊波=は酒造り51年目。「今年は酒米の高温障害もあって苦労すると思うが、長年の経験を頼りに美味しい酒を醸していきたい」と話した。(長谷部崇)