巣の下の傘に止まったコシアカツバメたち=丹波篠山市遠方
巣の下の傘に止まったコシアカツバメたち=丹波篠山市遠方

 兵庫県丹波篠山市の市鳥はツバメ。幸福を運んでくるともいわれるこの渡り鳥が、市内北部のゴルフ場「オータニにしきカントリークラブ」(同市遠方)のクラブハウスに群れ集い、50個近くもの巣を作っている。巣の下には、7色のビニール傘がさかさまにずらり。ちょっと不思議で楽しい光景だ。(堀井正純)

 営巣しているのは大半がコシアカツバメ。翼や尾が、通常のツバメよりやや長く、腰が赤褐色。とっくり形の巣を作り、「ジュリリジュリリチュー」と鳴き交わす。「春先にやって来て、今はもう2度目の子育て中」と、ゴルフ場のスタッフ河原政子さんは飛び交う鳥たちを見守る。

 巣が並ぶのはカート置き場の屋内や軒下。これだけあると、まるで「ツバメ団地」だ。周辺はエサも豊富で、よほど居心地が良いのだろう。「年々、数が増えている感じ」と河原さん。

 巣を飾る雨傘は2015年から、ツバメたちが子育てする時季に設置するようになった。その数は増え、約90本。目的はもちろんふんよけだ。「ツバメとの共存共生です」と平良康長支配人はほほ笑む。

 多数の巣とカラフルな傘はいまやすっかりクラブの名物だ。公式サイトには「(ツバメたちの)恋の季節のアンブレラ」とも記されている。

 ツバメと雨傘といえば、想起するのは、プロ野球「東京ヤクルトスワローズ」の「東京音頭」の応援風景。球団マスコットの「つば九郎」にも、一度この珍景を見せてみたい。