アルコール依存症を巡る社会課題について語る上田知香さん=尼崎市宮内町2
アルコール依存症を巡る社会課題について語る上田知香さん=尼崎市宮内町2

 連載「依存症からの回復」では、アルコール依存症当事者の半生を通して回復までのプロセスをたどった。現代は酒以外にも薬物、交流サイト(SNS)、ゲーム、性行為、仕事、ギャンブルなど依存の対象にあふれ、孤独に苦しむ人たちが大勢いる。社会全体で依存症をどう考えればよいか。連載の番外編として、県の断酒会家族会の顧問を務める精神保健福祉士の上田知香さんに聞いた。(聞き手・那谷享平)

 -依存症をどう理解すればよいですか。

 「すごく簡単に言えば、生きるのが苦しいと感じている人が、人工の快楽を与えてくれるものをつかんでしまい、やめられなくなってしまった状態です。どの依存症も、発端には生きることの痛みがあります。依存対象は最初は自分を助けてくれるものとして人生に登場し、やがてそれが自分に害をもたらすようになる。わらをもつかむ思いで手を伸ばした先にあったのが、アルコールや薬物なら物質依存、ギャンブルや万引なら行為依存、人間関係や性交渉なら関係依存になります」

 -誰でもなり得ると。