【ソウル共同】日本人2人を含む159人が死亡したソウルの繁華街、梨泰院の雑踏事故から29日で3年となるのを前に、犠牲になった埼玉県出身の留学生、小槌杏さん=当時(18)=の両親が28日、ソウルで取材に応じた。母の佳子さん(51)は「3年たつけれど、今も『ただいま』と帰ってくるような思いで過ごしている」と話した。

 事故は、ハロウィーンを前に若者らで大混雑した幅約3メートルの坂道で大勢の人が折り重なるように倒れて起きた。佳子さんは現場を見て来たといい「とても狭い道だと感じて、苦しかった」と涙をぬぐった。杏さんは韓国の音楽やドラマが好きで留学していたという。父の正成さん(52)は「同じようなことが繰り返されない対策を考えてほしい」と語った。

 日本人のもう一人の犠牲者、北海道根室市出身の冨川芽生さん=同(26)=を含め外国人は計26人亡くなった。28日、イランやフランスなどの外国人遺族約30人が記者会見し「なぜ警察官が現場に足りなかったのか」「真実、責任者を明らかにしてほしい」と訴えた。