大阪・道頓堀のビル火災現場=8月
 大阪・道頓堀のビル火災現場=8月

 大阪市の繁華街・道頓堀で8月に消防隊員2人が犠牲になったビル火災で、市消防局の事故調査委員会は25日、中間報告を公表した。火が外壁の装飾広告を伝わり急速に延焼、爆発的な燃焼で退路を断たれ隊員が脱出困難となり、煙や熱気が救出を阻む「要因の重層化」で起きたと分析。現場の情報共有不足も指摘した。装飾広告の違法状態も明らかになった。

 外部有識者の意見も踏まえた中間報告によると、火災発生は8月18日午前9時45分ごろ。現場検証や動画分析に基づく出火元は6階建てビル敷地の地上付近とした。装飾広告に燃え移り「壁面をはうように」火炎が伸びて垂直に急速に延焼。消防隊到着時には、広告の燃焼は「衰えていた」とも記した。

 火は隣接する7階建てビル5階の室内に移り、勢いが急増。室内の酸素が急速に減って一時的に収束した。犠牲となった2人を含む小隊3人は、先着隊の情報を基に6階で活動。別の隊員が5階の部屋の扉を開けた際、空気が流入して爆発的に燃える「バックドラフト」現象が起き、煙や熱が一気に6階に到達した。