酵素処理により細胞間の結合が弱まる様子(左から右へ)を示すiPS細胞の顕微鏡画像((C)2025 Elsevier B.V. All rights are reserved, including those for text and data mining, AI training, and similar technologies.)
 酵素処理により細胞間の結合が弱まる様子(左から右へ)を示すiPS細胞の顕微鏡画像((C)2025 Elsevier B.V. All rights are reserved, including those for text and data mining, AI training, and similar technologies.)

 シート状に培養したiPS細胞を、人体の組織に分化するという機能をほぼ維持したまま凍結保存することに成功したと、神戸大のチームが8日までに国際科学誌に発表した。実用化すれば、機械を使ったiPS細胞の大量生産や維持管理が容易になるという。

 iPS細胞は通常、シート状に培養する。冷凍保存も可能だが従来の方法では容器から剥がしてばらばらにする必要があり、工程が複雑な上に作業中に細胞が劣化する恐れがあった。

 チームは今回、凍結前に短時間の酵素処理をすることで、シート構造を壊すことなく細胞同士の結合を弱めることに成功。その上で新たな保存剤を開発。

 酵素処理をしなかったり、処理をしても市販の保存剤を使ったりしてシートを冷凍保存すると、解凍から48時間後の細胞生存率は0%近かった。一方で新技術では、少なくとも生存率は70%以上となった。

 チームの丸山達生教授は「iPS細胞は維持管理に熟練の手技や、高価な培地が必要だったが、冷凍食品のように簡便に長期保存でき、再生医療の実現や新薬開発に貢献できる」としている。