「被爆者 森下弘の証言」を手にする森下弘さん=4月、広島市
 「被爆者 森下弘の証言」を手にする森下弘さん=4月、広島市

 広島で被爆し、戦後は平和教育に取り組むとともに国内外で証言活動をしてきた元教師森下弘さん(95)の歩みをまとめた書籍「被爆者 森下弘の証言」が刊行された。森下さんは「この本が、戦争や原爆をなくす運動の助けになるよう願う」と語る。

 1945年8月6日、14歳の時、爆心地から約1・5キロ地点で被爆した森下さんは、顔の半分にケロイドが残り後遺症にも悩まされた。

 本書は未発表の森下さんの手記「証言 ヒロシマ-わが戦後」を基に構成。

 詩や短歌の創作に没頭して内面と向き合い、苦しみを平和への願いに昇華させるまでの葛藤や、教師として戦争や原爆についてどう生徒たちに伝えるか苦悩した経緯、平和運動に取り組む大きなきっかけとなった長女誕生時の思いなどを丁寧に記録している。

 森下さんからの聞き取りを担当した原爆資料館の元職員菊楽忍さん(68)は「一人の被爆者が戦後どう歩いてきたか感じてもらえると思う」と話した。

 同書は非売品。各都道府県立の図書館に寄贈したほか、発行元の「ヒロシマ通信」研究会のサイトで全文を掲載する。