将来を嘱望される国内外の若手ピアニストを紹介するピアノフェスティバル「横浜市招待国際ピアノ演奏会」が11月16日、横浜市の横浜みなとみらいホールで開催される。今年はタイのサン・ジッタカーン、フランスのジャン=ポール・ガスパリアン、ドイツのヨナス・アウミラー、日本とフランスにルーツのある田所光之マルセルの4人が出演。ソロ演奏に加え、アンコールで連弾も披露する。
40年超の歴史がある演奏会は、世界の若い才能を支援するのが目的で、現在第一線で活躍する藤田真央や小林愛実、アレクサンダー・ガジェヴも出演経験がある。
出演者は5人のピアニストらで構成する企画委員会(海老彰子委員長)が選出した。企画委員の一人、弘中孝は「国も、受けた教育も違うピアニストが、それぞれ違うものを見せてくれる。聴き比べられるのもいいところです」と話す。
演奏会に先立つ13日には、出演者4人による無料のミニコンサートをクイーンズスクエア横浜で開く。
演奏会の演目と企画委員の推薦コメントは次の通り。
☆サン・ジッタカーン
シューマン「アラベスク」など
「ジュネーブ国際音楽コンクールで彼が3位に入賞した時に審査員だったが、なんという才能だろうと。音色の美しさ、深み、こういう感性もあるんだなと1次審査で初めて聴いた時からファンになりました」(伊藤恵)
☆ジャン=ポール・ガスパリアン
ドビュッシー「版画」、ババジャニン「6つの描写」など
「非常に思慮深く、よく知っている曲も『こういうテンポで弾くのか』などと考えさせられ、実に面白い」(弘中)
☆ヨナス・アウミラー
ショパン「3つのマズルカ」など
「ドイツの伝統、DNAをしっかりと持ち、ドイツ音楽を弾くとかなわない。ショパン国際ピアノ・コンクールに出場し、演奏会もショパンを弾く。期待したい」(須田真美子)
☆田所光之マルセル
リスト超絶技巧練習曲集より「風景」「マゼッパ」など
「どんな曲を弾いても聴衆をひとつかみにして持っていってしまう。彼の考える音楽は、現代の私たちを生き生きと魅了してくれる」(海老)
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「クレッシェンド!」は、若手実力派ピアニストが次々と登場して活気づく日本のクラシック音楽界を中心に、ピアノの魅力を伝える共同通信の特集企画です。